普及が遅れる日本
日本のフェアトレード認証製品の市場規模を見てみると、驚くことに211億円しかありません。世界では1兆円以上ものフェアトレード製品が販売されています。(出所:フェアトレード・ラベル・ジャパン 2024年4月26日プレスリリース)
ちなみに1位のイギリスでは、およそ3,000億円ほどのフェアトレード市場が存在していると言われています。
確かにヨーロッパに旅行するとあちこちでフェアトレード商品を目にします。
なぜここまで差があるのでしょうか。
日本人は社会貢献に無頓着だからなのでしょうか。
最大の理由として、日本で販売されているフェアトレード認証製品の種類が他国に比べて圧倒的に少ないことが挙げられます。
世界で37,000種類以上のフェアトレード製品が販売されているのに対して日本ではわずか1,000種類程度の製品しかないのです。(出所:世界の数値は2020-2021年フェアトレードインターナショナル年次レポートより、日本の数値は当社調べ)
フェアトレード認証製品が少ない理由とは
フェアトレード認証で定められた基準を全て守る必要がありますのでフェアトレードと認証されるためのハードルが高く、そのため簡単にサプライチェーンを構築することはできません。日本企業はこの30年間、個人所得が増えないため、コストを下げ、そして販売価格を下げることに集中してきました。一方、手間もコストもかかるフェアトレードは敬遠されてきたことが挙げられます。
例えば製造工程の多いアパレル製品においては、綿花の栽培から始まり、紡績、紡織、染色、縫製までの全てのサプライチェーンで認証取得が必要となります。生産者を守るということはこうしたコストがかかるのです。
その昔は国際認証を取得していない製品でも「フェアトレード製品」と謳い販売していることもありましたが、最近では特に百貨店などでは国際認証を取得していない物は「フェアトレード製品」として扱うことをやめ、厳格な定義のない、「エシカル」や「サスティナブル」商品として販売することが多くなってきました。
これらには国際フェアトレード認証のような認証制度はありませんので消費者に対してどのように透明性を担保するのかが今後の課題といえるでしょう。
いずれにしても日本がフェアトレードを通じて国際社会に貢献し、認められるためには私たちメーカーが魅力的な認証製品を積極的に開発し、消費者の選択肢を広げたうえで選んで頂くことが重要だと考えています。