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フェアトレード

パンデミックとフェアトレード

パンデミックと途上国

2019年末から始まった新型コロナウィルスの影響拡大は、先進国に住む私たちのみならず開発途上国にも大きな影響をもたらしています。ロックダウンにより、工場の操業が停止され、多くの労働者が解雇されました。また、消費国への出荷手段を絶たれ、行き場を失った農産物が大量に廃棄される事態も発生しました。こうした結果、世界中の小規模工場や農園の労働者が窮地に立たされています。

増加傾向の児童労働

2021年6月のILO(国際労働機関)のレポートによると、「貧困層」及び「極度の貧困層」の人口が、世界全体で2019年より1億800万人も増加しました。つまり、本人とその家族が1日1人当たり3ドル20セント(約380円)未満で暮らしている人が、パンデミック以前より1億人以上も増加していることになります。

また、ユニセフによると,世界の児童労働は推計1億6,000万人。実は4年前の調査から840万人も増加しています。2000年の2億4,600万人からこれまで減少傾向にあったことからすると残念な結果といわざるをえません。ちなみに児童労働とは18歳未満の労働の中で、国際条約で「子どもがするのを禁じられている労働」を指します。

先進国の資本主義社会において、企業が利益の最大化を追求するのは当然の流れといえるなか、その矛先は途上国の農園や工場における労働者の賃金に向けられがちです。子どもを奴隷として強制的に労働させることで、大人より低い賃金で済みます。例えば、私たちのような繊維産業であれば、綿花の収穫や畑を耕す作業などの簡単なものは子どもでもできるということになるのです。中学生くらいの年齢の子どもであればトレーニングすることでミシンの操作もできるようになります。労働集約型といわれる繊維産業で特に児童労働が多いのもこういった理由からです。

パンデミックによる貧困の増加や学校の閉鎖などは、今後さらに児童労働へ大きな影響が起きるのではないかと懸念されています。

フェアトレードをセーフティネットに

フェアトレード国際基準では、児童労働を禁止しています。例えば綿花畑や縫製工場などの製造にかかわるすべてのサプライチェーンはつねに監査の対象となります。

認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパンの2022年5月のプレスリリースによると2021年の国内の市場規模は約158億円で2020年より約20%増加しました。シェア別にみるとコーヒーの56%を筆頭に、カカオ(主にチョコレート)、そしてコットンや果物と続きます。魅力あるフェアトレード製品の開発を推進し、その市場が拡大することで、途上国の生産者のセーフティネットとなるのです。

『児童労働:2020年の世界推計、傾向と今後の課題(原題:Child Labour: Global estimates 2020, trends and the road forward)』(ユニセフ(国連児童基金),国際労働機関(ILO) https://data.unicef.org/resources/child-labour-2020-global-estimates-trends-and-the-road-forward/

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