学校に通わない子ども(FCI撮影)
増加傾向の児童労働
2021年6月のILO(国際労働機関)のレポートによると、「貧困層」及び「極度の貧困層」の人口が、世界全体で2019年より1億800万人も増加しました。つまり、本人とその家族が1日1人当たり3ドル20セント(約380円)未満で暮らしている人が、コロナ以前より1億人以上も増加していることになります。
また、ユニセフによると,世界の児童労働は推計1億3,800万人。4年前の調査から2,200万人減少しました。(2025年6月発表)世界の子どもの約8%が児童労働をしていることになります。ちなみに児童労働とは18歳未満の労働の中で、国際条約で「子どもがするのを禁じられている労働」を指します。そのうちの約40%(5,400万人)は、「有害であり危険な児童労働(hazardous work)」従事しています。具体的には強制労働、人身売買、売春、犯罪行為等がこれに該当します。
先進国の資本主義社会において、企業が利益の最大化を追求するのは、やむを得ないことですが、その矛先は途上国の農園や工場における労働者の賃金に向けられがちです。子どもを奴隷として強制的に労働させることで、大人より低い賃金で済みます。例えば、私たちのような繊維産業であれば、綿花の収穫や畑を耕す作業などの簡単なものは子どもでもできるということになるのです。12才くらいの子どもであればトレーニングすることでミシンの操作もできるようになります。労働集約型である繊維産業で特に児童労働が多いのもこういった理由からです。
フェアトレードをセーフティネットに
フェアトレード国際基準では、児童労働を禁止しています。例えば綿花畑や縫製工場などの製造にかかわるすべてのサプライチェーンはつねに監査の対象となります。「魅力あるフェアトレード製品」の開発を推進し、その市場が拡大することで、途上国の生産者のセーフティネットとなるのです。