国際的な大規模イベントでは「持続可能性に配慮した調達コード」が採用されることが一般的になってきています。具体的にはその会場で提供される物品やサービスの調達において、主催者は一定のルールを取り決め、事業者に遵守するよう求めています。事業者は「環境に配慮しているか」や「人権に配慮しているか」といったことを示すためのエビデンスを求められることになります。
大阪・関西万博とフェアトレード
国際フェアトレード認証はEXPO 2025 大阪・関西万博「持続可能性に配慮した調達コード」個別基準「農産物」に適合する認証スキームとして博覧会協会から認められています。公益社団法人2025年日本国際博覧会協会(以下、博覧会協会)が2025年4月13日から開催運営しているEXPO 2025 大阪・関西万博では、持続可能な運営を目指し、物品やサービスの調達プロセスにおける持続可能性への配慮を実現するための基準や運用方法等を定めた「持続可能性に配慮した調達コード」を策定しています。Fairtrade Internationalが管理する国際フェアトレード認証は、持続可能性に資する取組に基づいて生産され、トレーサビリティが確保された農産物(海外産)の認証スキームとして、調達コードの個別基準「農産物」に基づき博覧会協会から認められています。
国際フェアトレード認証は、農産物などのサプライチェーン上に存在する深刻な貧困や児童労働・強制労働などの人権侵害、気候変動などのグローバル規模の課題を、持続可能な生産と公正な貿易の仕組みにより解決を目指す仕組みとして、現在、世界140カ国以上でその認証製品が流通しています。
大規模イベントや公共調達でのフェアトレード認証製品の採用は、世界的には主流になりつつあります。大阪・関西万博の会場で提供・販売される物品についても、環境と人権に配慮して生産・取引されたフェアトレード認証原料・製品が多く採用されることを期待します。(以上、認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパンのホームページより引用)https://www.fairtrade.net/jp-jp/get-involved/news/2025-04-13.html
EXPO 2025 大阪・関西万博「持続可能性に配慮した調達コード」
https://www.expo2025.or.jp/overview/sustainability/sus-code
博覧会協会が認める認証スキーム一覧
オリンピックとフェアトレード
「世界初のサスティナブル大会」と言われるロンドンオリンピック・パラリンピックでは国際フェアトレード認証が調達基準になったことで、イギリスのフェアトレード市場規模は約900億円から約3,000億円にまで急拡大しました。例えば食品の場合は可能な限り国産品を使用するのですが、国内で調達できないコーヒーやバナナなどは認証スキームに沿った食品のみ提供を許可する、というものでした。つまり国外から調達する場合のサプライチェーンは特に見えづらく、国際認証を取得したものを調達することで安心・安全を担保しました。五輪で使用されるものはすべて環境破壊や搾取、児童労働によってできた物とは無縁であるべきだからです。実際ロンドン大会では選手村や食堂で国際フェアトレード認証のコーヒー約1,400万杯、紅茶約750万杯、そしてバナナ1,000万本、ワイン220万本などが提供されました。その後ロンドン交通局では「国際フェアトレード認証コットン」を約10万人以上の職員の制服に採用しています。もちろん、東京2020大会においても「国際フェアトレード認証」が調達スキームとして採用されました。
このように企業だけでなく国際的なイベントにおいても急速に拡がっています。